2019年当時の未来予想と個人的な考察です。記事中の「これから」「現在」は当時の文脈であり、現行の運転支援機能で自由に眠ったり、監視をやめたりできるという意味ではありません。
自動運転が実現しそうになってからずいぶん経ちますが、あまり進展はないようですね。
2019年当時は、自動運転の普及までどれほど時間がかかるのかを気にしていました。この記事はその頃の将来像の考察で、現在の普及状況や実現時期を予測するものではありません。
ただ、実現した場合の経済効果は計り知れないので、自動運転が実現するとどうなるのかを考えたいと思います。
自動車がかつての「馬」になる
一番手っ取り早い説明がこれですね。「全部自動化は無理」とか言われますが、現在馬は車道を走っていません。
馬を交通手段として使う場面との比較は、社会の変化を考えるための比喩です。軽車両だから歩道を自由に通れるという意味ではなく、実際の通行には法令上の条件があります。
なので、自動運転が実現したら競馬場で馬が走れるように、自分で運転するときはサーキットに行くことになるでしょう。
自分で運転しないなんてつまらない?
これもよく言われることですが、自分で運転できないとつまらないと考える人がいますが、では車を運転するときにみんなそんなに楽しんで運転しているのでしょうか。日本の道路は信号が多く混んでいるのでスピードもそんなに出せません。というか高速道路ほどスピードを出すわけにもいかずあまり気持ちよくは走れていないと思います。
というかそんなに車で走るのが好きならほとんどの人がマニュアルシフトのスポーツカーに乗っていると思うのですが、ほとんどの人がオートマで走行性能もそれほど高くない車に乗っていますし、近年売れているのは燃費のいいプリウスや軽自動車だったりします。
昔は例えガソリンをばらまくことような燃費の車でも高出力のエンジンを搭載していれば魅力的でしたが、最近は誰もそんな車に乗りません。
特に若者の車離れが叫ばれている昨今、そもそも車にお金や労力を駆けたくない人は増えてきているように思います。
それでもたまにはドライブに行くという人もいるとは思いますが、逆に言えばそんなときでなければ車を楽しく乗ることはないとも言えます。
毎朝眠い時に通勤ラッシュの中を走る (それか近所への買い物へ行く) のがメインの使い方で、実際の走行距離は1年1万km走るとすると平均1日27kmです。
なので、現在車の運転は単なる作業になっていて、楽しくもないこの時間を有効活用できれば生産性はかなり上がると考えられます。
自動運転中は何をするのか
座席に座っていて運転しないのなら、PCやスマホで何かするように思いますが、自動運転専用の車両が開発されるので、今までとは全く違った移動時間の使い方になるでしょう。
ここら辺はトヨタが少しコンセプトを発表していましたが、バーや飲食店、映画館やゲームセンターなど多様なエンターテインメント空間も実装可能ですし、もちろん完全個室で集中して仕事をする、あるいはベッドになっていて寝れる。ということも考えられます。
ただ、一人で空間を占有したい場合高くなると思うので(おそらく課金制になる)通勤で使う場合はバスに近い相乗りの車両がメインになるのではないでしょうか。
ただ、車内でCMを観たり、時間帯を変えるなどして料金を下げる(おそらく無料)にすることは可能になると思います。自動運転の場合、どれくらいの稼働率なのかが正確に出るので、逆にオーナーからすれば稼働率は100%にできるだけ近い方がいいので、ただでも乗ってもらいたいとは思うはずです。
タクシーとバスの中間の車両がメイン
先ほども述べたように、自動運転の場合課金制のシステムになると考えられます。呼んだら来るのに自分で購入して自宅の駐車場に置いておくメリットがないからです。
それに、自動運転は中央集権的に交通制御ができるというメリットもあります。道路が混んでいるから別のルートを通る、あるいはいつどこでどの時間帯に自動車が集中して必要になってくるか予測して配置させておくなど、自動車資源の最適化が可能です。
現在駐車場にはたくさんの車が止まっています。当たり前のことのように思いますが、駐車場に止まっている車は稼働していません。駐車しておいて自慢するという機能はあるのかもしれませんが、何百万もする資産を一日の大半使わずに遊ばせておくのはよくよく考えるとかなりもったいないことです。自動運転の場合は普段は道路を走り回っていて必要な時に呼ぶということが可能なので、自動車の稼働率がかなり上がります。
1日の走行距離が27kmとすると、平均時速50数kmで走るとして1日の稼働時間は30分程度です。稼働率にするとわずか2.1%です。
稼働率が上がれば必要な台数が変わる可能性はあります。ただし、時間帯による需要の集中、地域差、整備や充電の時間などを考える必要があり、稼働率の比だけで車両を何分の一にできるとは計算できません。
車種が減る
実際先ほど述べたような色々な車が必要かどうかは確かに疑問があります。移動の目的はあくまで移動です。目的地に着きさえすればいいのであって、到着後もしばらくお酒や映画を楽しんだりするとは思えません。トヨタは移動時間を特別なものにして価値を提供していこうと考えているようですが。私は無理があると思います。
なので、実際にメインになってくる車は仕切りのついた小型のバスのようなもので、ちょっと贅沢して旅行へ行くときなどは家族で貸し切って何か飲み物くらいは冷蔵庫に入っている程度の車両。そしてその他は飛行機で言えばファーストクラスのような扱いで富裕層向けになるのではないでしょうか。とはいうものの富裕層は有人ドローンを使うと私は考えていますが。
部品点数が減る
車内の使い方や車両の構成は変わるかもしれませんが、自動運転なら安全装備を外してよいとはいえません。乗員保護や安全基準を満たす必要があり、ここでは不要になる装備を断定しません。
そもそも電気自動車になるとガソリン車に必要なミッションやそのためのオイルなどはなくなりますし、さらにタイヤの中にモーターを入れる(ホイルinモーター)ようにすればタイヤとモーターだけの乗り物になります。ここまでくるとほとんどドローンですね。
ドローンも有人になる
有人ドローンは今も開発中ですが輸送では実験の話も結構聞きます。障害物をあまり考えなくていいので自動運転より実現は簡単かもしれません。富裕層はドローン、他の人は自動運転車両になるかもしれません。
自動車の数はどれくらいになるのか
相乗りや共有が進めば道路・駐車場の使い方も変わり得ますが、その程度をこの文章から数量化することはできません。不動産価格が必ず下がるという根拠にもなりません。
生産台数と部品点数の比をそのまま掛けても、必要な働き手の数にはなりません。設計、ソフトウェア、保守、運行など仕事の構成も変わるためです。産業への影響を考えることと、具体的な失業者数の予測は分ける必要があります。
まとめ:GAFAが手を出し切れない最後のフロンティア
新しい技術が既存の企業に影響を与えるという比喩として小売業を思い浮かべましたが、Amazonがウォルマートを消滅させたという事実はありません。自動運転で自動車産業が必ず消滅するともいえません。
個人的にはトヨタに頑張ってほしいところではありますが、今までのトヨタの戦略が現在完全に裏目に出ています。チェーンバリューを厚くすることで参入障壁を高くしてなおかつ車両価値を上げ他社とも仲良くするトヨタの手法が、1つの技術や社会の変化、1人の天才で一瞬でビジネスが変わる現在の状況に対応するのを困難にしています。トヨタだけではなくほかの自動車会社も相当焦っているのではないでしょうか。
他にも課金制でどう変わるのか、事故を起こしたら誰のせいか、どういう風に変わっていくのか、保険はどうなるのかなど面白い考察がまだまだできるので、別の機会を考えたいと思います。
運転支援・自動運転の範囲は国土交通省:自動運転のレベル分けを参照し、実際には車両の説明書と利用条件を守ってください。