性犯罪者の頭の中(鈴木伸元)

加害者の側の声や体験、分析に耳を傾けているところが特徴かと思います。今まで読んだ本は被害者目線、心のケアが中心だったので、原因究明や再発防止に役に立つ本だと思います。

高卒以上の学歴が多い犯罪

我々は普通性犯罪というと、衝動的な犯行と思いがちですが、実際には用意周到に計画を練っていたり、最初は遠くから見るだけだったのがのぞきや盗撮などと徐々にエスカレートし、最終的には連続強姦(強制性交)に至るケースが多いようです。

加害者は周りから孤立感を抱いて生活しているケースが多く、真面目な人間が仕事やプライベートで追い詰められて非社会的性を持つようです。

最初に読んだときは加害者に同情的に書かれているのかと思いましたが、実際に性犯罪者の学歴は高い傾向にあり、普通は大卒以上の犯罪者は全体の1割いないのですが、性犯罪の場合は3割になります。

解決策

動機は多様なので、単純な解決策はないように思いますが、手術による去勢はある程度効果があるようですし、出所後の情報の近隣住民への開示や監視も必要で、韓国では数年で法制化されたことがすごいですね。

ただ、性犯罪は再犯率が非常に高く、本人たちもそれで悩んでいたりするくらいですから、こちらも効果は限定的になりそうです。

というか、他の犯罪もそうなのですが、我々が犯罪者や刑務所に何を求めているのかをはっきりしたほうがいいと思います。つまり、悪いことしたやつをやっつけたいのか、社会復帰させたいのかです。

若くても数年無職の期間があっただけで面接で不利になるのに、長期間無業で、犯罪歴のある人物を受け入れてくれる場所は今の日本にあるのでしょうか。

例え働けたとしても、それは経歴を問わない機械的な作業であって、会社の中で居場所が生まれるわけではありません。誰とも話さずに自分の過去を隠し、鬱屈した感情からまた犯罪を犯すのは刑務所の校正プログラムの不備だけではなく、現代の社会に余裕や包摂力がないせいでもあります。

結論:再犯しそうなら出所させなくてよい

昔ホリエモンが刑務所から出てきたときに「犯罪者はいつか刑務所から出てくる。捕まえて喜ぶだけではなくて出た後のことを考えないといけない。」言っていました。

しかし、性犯罪者や凶悪犯罪者など、危険で再犯の可能性のある人物を更生した確信もないまま出所させる必要があるのでしょうか。本人でさえ出ても再犯しそうだとか、行くところがないと思っているのなら、少なくとも完全に更生し、社会復帰のめどが立つまでは人権を制限し、訓練と教育を与えるべきだと考えます。

となりの億万長者〔新版〕──成功を生む7つの法則(トマス・J・スタンリー 、 ウィリアム・D・ダンコ)

「金持ちは金を使わないから金持ちになれる」とは聞いたことがありますが、本当にそうなのか。という疑問にデータから統計的に説明してくれる本です。

金持ちなら高級住宅地に住み、高級車に乗り、スーツ、腕時計は高価なブランド。という気もしますが、実際は

過半数が3万ドル以下の車に乗り、高級輸入車を所有する人の2/3は億万長者ではないそうです。

食事も高級ワインなどは飲まず、ビールを飲むらしく、ブランド品も身に着けないそうです。

イギリス系が特にお金持ちというわけではなく、ロシア系が多いそうです。ロシア人は知識人や事業をしている人が尊敬される文化があると聞いたことがありますが。そのせいでしょう。

収入が多ければ資産家というわけではなく、10万ドル以上の収入がある人でも、浪費家はお金が貯まっていかないようですね。

資産運用も一度買った株を長年持そうです。 投資アドバイザーに「あなたが個人で持っている株のリストと、ここ3年でいくら儲けたかを教えてください。」といっても誰も教えてくれないというのも面白かったです。

子供が医者や弁護士になる確率は他の人の数倍高く、教育費にはお金をかけるようですが、子供を甘やかすお金持ちも多く、子供が浪費家になり、自立できずに親のすねをかじる傾向があります。

子供が親のように金持ちになるには、自分が金持ちであることを隠すくらいでないとだめらしいです。

なので「親が金持ちだったら金持ちになれる」というのは間違いらしいですね。

「子供に勇気を持たせるには何かを売らせるのが一番手っ取り早い。何かに立候補したり、小さなものを売ったりと売り込みをすることで自立心が育つ。」というのは目からうろこでした。

結論:金は使ったら減る

以前このブログでも書いたことが、データとして裏付けされているのだと思いました。しかし逆に言えば資産1億程度なら労働者からでもなれるということで、100億以上の資産を持ってる人の話も聞きたかったですね。

GAFA 四騎士が創り変えた世界 (スコット・ギャロウェイ )

四騎士とはGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)のことですね。この4社がとんでもなすぎて手が付けられないという話ですね。

Google

ブロガーなどでは冗談半分でGoogle神とか言いますが、実際情報発信してもGoogleに検索で引っ掛ける価値なしと判断されれば誰からも見向きもされないサイトになりますし、アルゴリズム次第では個人のぞんざいを無かったことにできます。

会社組織にしても同じで、コンテンツなど、何かを売ろうとしても、Googleを通しているので、Googleの支配下にあるといえます。

しかし、それはどこのITシステムでも同じことが言えるような気がします。エンジニアの作ったシステムに乗っかって、中身をお任せにしていると、いつの間にか乗っ取られていたということもあり得ますね。

Apple

四騎士の中で一歩抜きんでているらしいです。なぜならカリスマ的創業者亡き後も安定的に成長し続けているからです。元々単なるモバイルPCだったものを持って居るとかっこいいもの、ブランド化したことが成功につながっています。

確かに今までパソコンなんか持っているのは一部のおたくだけだったのを持って居るとかっこいいものにしたのは世の中的にもジョブス最大の功績かもしれません。

そして、四騎士がこれからやろうとしていることに共通するのは、個人からのデータの吸い上げです。Appleの場合は生体データですね。

Facebook

人とのつながりを完全に依存することになる。世界最大の出会い系サイトですね。

Amazon

すべての小売業を駆逐して、個人が欲しいものがボタンを押さずとも届く。

脱税の世界史(大村大二郎)

税金がわかると現代の裏側が見えてくる

国が存在する以上は税金があるので、何らかの形で徴収せざるを得ないわけですが、当然取られる側の人は嫌がります。

この本を読むと、取る側ととられる側の鼬ごっこの歴史が見えてきます。歴史の表と裏、そして現代の裏側が見えるので、必然的に現在の表面的な事実、出来事も深く知ることができます。

そして、これからどうなるかもおぼろげながら見えてくる気がします。

ピケティの言う資産課税はすでにあった

ふつう税金というものは所得があったり、何か目的をもって取られるもの(車が走るために道路を整備するから自動車税を取る)とかだと思うのですが、ただ金持ちだからという理由でお金をとるのはかなり難しいように思います。しかし、古代ローマはやってたみたいですね。

ただ、基本的に税金とは持ってる人から持ってない人にお金を動かすためにあるので、所得に比例して取るか、資産に比例して取るかは根本的に違いがないように思います。

現代は持ってる人が指数関数的に富を増大させて格差が広がりすぎているので、所得より資産に税金をかけたほうが良いというのがピケティさんの考えだと思いますが、現代ならよその国に移すのも簡単だと思うので、世界同時にやらないと意味いなですね。

結局お金持ちが自ら進んで税金を払うような社会システムがないと成立しないように思います。著者によると、国家はたいていお金持ちから税金をとれなくなって貧乏人からとるようになって滅んでいるらしいです。

源泉徴収はヒトラーが始めた

ヒトラーは「我が闘争」という自伝が売れすぎたせいで、税金を払えなくなってかなり苦労したそうです。なので、税金のとり方はよくわかっていたようですね。

年に一度とかでいきなり税金をとると払えない人が出てくるので、分割で、しかもあらかじめ給料から天引きすれば取られるほうもあまり気にしないし、取りっぱぐれないということです。

私は初めて源泉徴収されたとき、アルバイトで一時的な所得だったので、確定申告すれば返してもらえると教わったのですが、勝手に取っておいて「返してほしくば取りに来い」とはとんでもない制度だと思いました。

元々サラリーマンに税金はなかった

大戦中に日本政府がヒトラーに倣って一時的な措置としてサラリーマンから税金をとるようになっただけで、もともと法人からお金をとっているのに労働者からとったら二重課税になるという考えが以前は主流だったようです。

しかし、初めてみるとなかなかやめられず、現在に至るようです。

消費税の2%は結構騒ぐのに、保険料は上がってもあまり気にしていない。つまり上げ放題になっっているということですね。

結論:国家崩壊の一歩手前なのでは・・・

企業にとってどこの国にいるかは特に問題ではないらしく、GAFAなど税金の安い国に逃れてあまり払っていないのは有名な話です。

それは国もわかっているのですが、高い税金はかけると海外に逃げられるので法人税はどんどん下がっています。

この本に書かれた通りならもうすぐ国家崩壊しそうですが、今までの歴史と違うところは、グローバル化しているということです。

世界中が法人税を下げているので、日本だけで革命を起こしても法人税は上げられずに、貧乏人は高い税率と、低い公共サービスで苦しむことになりそうです。

逆に言えば努力の方向さえ間違わなければ報われるということかもしれませんが。

とても面白い本だったので何度か読むと思います。

ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第9版〉――株式投資の不滅の真理(バートン・マルキール)

株式投資に関してはすごく有名な本のようです。これから株を始めようという人(自分もですが)は読むべきだと思います。

バブルに関して

バブルに関しての章が面白かったですね。昔.comを社名に付けると株価が上がったという話は聞いたことがありますが、~トロニクスを付けると株価が10倍以上になった時期もあったそうです

先進的で夢のある技術にお金が集まるのはいつの時代も同じなのだと感じました。

最近のAIブームも同じようなものかと思うと勉強になりますね。

チャート分析について

株価の動きを見ているとやはりどうしても何らかの法則があるように思ってしまいますが、それもまやかしのようです。

ランダムに作ったチャートをプロのチャーティストに見せると区別がつかなかったりするようです。

株価が急騰、急落している局面などは、何らかの予測が立ちそうですが、どこまで下がるのか、上がるのかはどれだけ非合理的な投資家がいるかにかかっているので、合理的に予測するのはやはり難しいようです。

結論 :インデックス投資には勝てない

やはりプロが株を運用しても継続的に市場平均に打ち勝つことは難しいようですね。1年単位でみると勝っているという人も、連続しては勝てないようですし、何年もずっと勝ち続けているような人でも偶然勝っている可能性もあるので、来年勝てるとは限らないようです。

それでもウォーレン・バフェットのような人もいるので、一部の天才は可能な勝利のようですが、普通の人がとりあえず余ったお金を何とかしたい場合はインデックスファンドが最適解になるようです。

いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」(後田 亨、永田 宏)

日本の健康保険は世界最強

まずそもそも医療費は3割しか負担しなくてもよいということと、限度を超えて高額な医療費はほぼタダになるので、せいぜい月10万円程度の支払で済むということ。

どんな病気でも社会復帰にはせいぜい50万円くらいしかかからないので、それくらいあれば医療保険は無意味であるということ。(老人でなければそんなに入院は長引かない)

大腸がんの手術を受けても2,3週間ぐらいで担任するということ

もし長期の入院が必要な場合でも有給休暇と傷病手当金で最長20ヶ月はお金がもらえるということ。

先進医療といえどそれほどお金はかからないということ。

医療が発達するので、今保険に入っても将来使えないかも知らないということ。

以上がとりあえず重要かと思います。

総論

保険で悩んでいる人は見るべき本ですね。「安心」という目に見えない商品を売っているということと、日本の保険会社がやはりデカいということで、かなり儲かっているようですが、そこら辺をもっと深く追及してほしかったです。

しかし、細かい数字も載っており、現場の声などが聞けるので、すごく役に立つ本だと思います。

後補足的に言うと、公的年金もあまりあてにならないと思うのですが、だからと言って保険に入る理由にはならないでしょう。

保険に関しては「不安だから甘えたい」というのが消費者の本音だと思うので、そこら編をもう少し掘り下げたいと思います。