『脱税の世界史』読書感想――源泉徴収への違和感から、税の集め方を考える

大村大二郎の『脱税の世界史』を2019年に読んだ感想です。税を集める側と払う側のやり取りを通して歴史を見ることが面白く、現在の制度を見る目も変わる気がしました。脱税の方法や節税の手順を紹介する記事ではありません。

税率だけではなく、集め方を見る

当時、私は本を読みながら、税を取る側と取られる側のいたちごっこに関心を持ちました。国が何をしようとしたかだけでなく、そのためのお金を誰からどう集めたかを見ると、歴史の別の面が見えるように感じたのです。

ただし、一冊の歴史の読み方を、現在の国の行方にそのまま当てはめることはできません。「富裕層から徴税できなければ国家は必ず滅ぶ」という法則として扱ったり、現在の企業の納税額を調べずに評価したりするのは別の話です。

初めて源泉徴収されたときの記憶

私は初めて源泉徴収されたとき、アルバイトで一時的な所得だったので、確定申告すれば返してもらえると教わりました。当時は、先に引いておいて、返してほしければ手続きをするという仕組みに、とても強い違和感を覚えました。

これはそのときの感情の記録です。実際にいくら還付されたかはここには記録していませんし、アルバイトなら誰でも全額戻るという説明でもありません。個々の申告や還付の要否は、その年の所得や控除などの条件を確認する必要があります。

所得税の始まりと、源泉徴収の導入を分ける

制度の沿革を確かめるときには、「税そのものができた時期」と「集め方が変わった時期」を区別できます。国税庁の資料では、日本の所得税の導入は1887年、1940年の税制改正では一部の所得税に源泉徴収制度が導入されたと説明されています。

資料で確認する出来事年この記事で区別したい点
所得税の導入1887年所得に対して課税する制度の始まり
一部所得税への源泉徴収制度導入1940年税を集める方法の変更

1940年の説明には、滞納の未然防止、納税の簡易化、納税者の捕捉などの目的が挙げられています。源泉徴収を特定の人物の思いつきや、「人に気づかれず取るため」だけで説明するのでは、制度の複数の目的が抜け落ちます。

出典:国税庁「所得税の導入」/「源泉徴収制度の導入」。

読後に残った問い

私が面白いと感じたのは、税金をただ取られるものとして見るだけでなく、集める仕組みにも歴史があると考えられたことです。一方、過去の出来事が現在と似て見えるからといって、同じ結末になるとは限りません。

税についての記事を読む際も、何に課す税なのか、対象は誰か、どう徴収するのか、どの時点の制度なのかを分けると、税率だけでは見えない違いが出てきます。これは本の内容を網羅する要約ではなく、当時の疑問を整理するための見方です。

まとめ

2019年の読後感は、とても面白く、また読みたいというものでした。ここでは再読したことにせず、その感想と初めて源泉徴収されたときの記憶を残しています。現在の申告・納付については最新の公的案内や税務署等へ確認し、この記事を個別の税務判断の根拠にはしないでください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です