前半は社会にある問題を生物学の知見を交えつつ先生の考えを述べています。最後の方は先生の過去のお話や、定年後はどうするかなどの話で、全体的に何か熱意をもって解決しようとかではなく、斜めから見たボヤキに近い感じになっています。つまり、全体が「いいかげん」のすばらしさを説いているといえますね。
池田先生はやはり人間的に面白い方で、本の内容も「気づき」や「知見」だけでなく、肩の力が抜けて面白いという感じです。
しかし、先生の「構造主義生物学」は生物を物質の集まりや積み重ねではなく、全体をシステムとしてみる生物学で、最近は結構受け入れられるようになってきたようですが、やはりまだ教科書に載らないような分野らしく、学ぶことで多くの「気づき」が得られます。最近はのほほんとした本しか出しておられませんが、真面目でおもい内容の過去の著書にこそ先生の知見が凝縮されています。