税金がわかると現代の裏側が見えてくる
国が存在する以上は税金があるので、何らかの形で徴収せざるを得ないわけですが、当然取られる側の人は嫌がります。
この本を読むと、取る側ととられる側の鼬ごっこの歴史が見えてきます。歴史の表と裏、そして現代の裏側が見えるので、必然的に現在の表面的な事実、出来事も深く知ることができます。
そして、これからどうなるかもおぼろげながら見えてくる気がします。
ピケティの言う資産課税はすでにあった
ふつう税金というものは所得があったり、何か目的をもって取られるもの(車が走るために道路を整備するから自動車税を取る)とかだと思うのですが、ただ金持ちだからという理由でお金をとるのはかなり難しいように思います。しかし、古代ローマはやってたみたいですね。
ただ、基本的に税金とは持ってる人から持ってない人にお金を動かすためにあるので、所得に比例して取るか、資産に比例して取るかは根本的に違いがないように思います。
現代は持ってる人が指数関数的に富を増大させて格差が広がりすぎているので、所得より資産に税金をかけたほうが良いというのがピケティさんの考えだと思いますが、現代ならよその国に移すのも簡単だと思うので、世界同時にやらないと意味いなですね。
結局お金持ちが自ら進んで税金を払うような社会システムがないと成立しないように思います。著者によると、国家はたいていお金持ちから税金をとれなくなって貧乏人からとるようになって滅んでいるらしいです。
源泉徴収はヒトラーが始めた
ヒトラーは「我が闘争」という自伝が売れすぎたせいで、税金を払えなくなってかなり苦労したそうです。なので、税金のとり方はよくわかっていたようですね。
年に一度とかでいきなり税金をとると払えない人が出てくるので、分割で、しかもあらかじめ給料から天引きすれば取られるほうもあまり気にしないし、取りっぱぐれないということです。
私は初めて源泉徴収されたとき、アルバイトで一時的な所得だったので、確定申告すれば返してもらえると教わったのですが、勝手に取っておいて「返してほしくば取りに来い」とはとんでもない制度だと思いました。
元々サラリーマンに税金はなかった
大戦中に日本政府がヒトラーに倣って一時的な措置としてサラリーマンから税金をとるようになっただけで、もともと法人からお金をとっているのに労働者からとったら二重課税になるという考えが以前は主流だったようです。
しかし、初めてみるとなかなかやめられず、現在に至るようです。
消費税の2%は結構騒ぐのに、保険料は上がってもあまり気にしていない。つまり上げ放題になっっているということですね。
結論:国家崩壊の一歩手前なのでは・・・
企業にとってどこの国にいるかは特に問題ではないらしく、GAFAなど税金の安い国に逃れてあまり払っていないのは有名な話です。
それは国もわかっているのですが、高い税金はかけると海外に逃げられるので法人税はどんどん下がっています。
この本に書かれた通りならもうすぐ国家崩壊しそうですが、今までの歴史と違うところは、グローバル化しているということです。
世界中が法人税を下げているので、日本だけで革命を起こしても法人税は上げられずに、貧乏人は高い税率と、低い公共サービスで苦しむことになりそうです。
逆に言えば努力の方向さえ間違わなければ報われるということかもしれませんが。
とても面白い本だったので何度か読むと思います。