最近保険の話をしていて他の人とかみ合わないことがあるのですが、どうやら保険とは何かをわかっていないようなので解説したいと思います。
保険の始まり
保険の始まりは、船の航海がまだ安全でなかったころ、船主と荷主で負担を分け合ところから始まりましたが、14世紀ごろに航海が失敗したときには積み荷の代金を金融業者に払ってもらい、成功したときには金融業者に手数料を払うという仕組みが生まれました。
つまり、保険はそもそもギャンブルだということになります。
たまに保険の話をしていて、「掛け捨ての保険は還ってこないのでもったいない」という話をされますが、それは「競馬で外れたので払った金は返してくれ」というのと同じだということですね。
保険会社の儲けのしくみ
なので、保険会社がもうけを出すためには、生命保険の場合はできるだけ死なず、自動車保険ならできるだけ事故にあわないでいてくれた方がよいわけです。
保険会社はどれくらいの確率で支払いが発生するのかもかなり細かく計算しています。未来が予測できないから我々は不安になり、安心するために保険料を払うのですが、ここが結構騙されそうになるポイントですね。
つまり、保険会社はたいして危なくないのに「危ないですよ」と言って保険に入らせることもできるということですね。
例えば先日社内で若い(24歳)社員が保険のセールスの方に「2人に一人ががんになる時代ですよ」と言われ、びっくりしてすぐに保険に入ると言っていました。私は「うわ、出たよ。」と思って聞いていました。二人に一人というのは生涯でガンになる確率であって24歳でガンにかかる確率は万に一つです。
もちろん単に当たった外れただけではありません。セールスや事務員の給料、保険の開発費やTVで流れるCMなどの広告費も費用です。
そして被保険者から集めたお金はただ貯金しているわけではなく、しっかりと株などを買って運用しなければなりません。大企業などをWikipediaで検索すると保険会社が筆頭株主になっていることがよくあるのは、銀行に匹敵するほどの莫大な資金が集められるということであり、それだけもうけが大きいということが予測できます。
実際の保険料はいくらなのか
保険会社はあくまで営利企業なのでこのように我々がお金をプールしておいて困ったときにもらうという仕組み以外に自分たちの儲けのためにいろいろな仕組みがあります。
しかし、実際に保険会社が自社の儲けとしてどの程度手数料を取っているのかは公開されていません(ライフネット生命以外)。よほど保険料の内訳を知られたくないのでしょう。
結論:掛け捨ての生命保険と自動車保険以外は不要
もちろん会社が儲けようとすることは悪いことではありません。しかしお客さんも同時に得をしないと会社に存在価値などありませんし、その商売は悪いことになります。
なので我々にできることは、できるだけ勉強して金融リテラシーを身に着け変な保険に入らないということですが・・・
私の考えですが、今日本で保険を売るのは非常に簡単になっています。先ほど述べたようにガンを恐れてがん保険に入る若者や国があてにならないから民間の保険に入るという人や、病気になったときいくらかかるのかも分からずとりあえず医療保険に入る人など、かなり楽な商売になっているのでしょう。
今後消費者が賢くなって保険会社が追い詰められていい商品を販売するようになるとは思えません。むしろ「不安だから助けてほしい」「面倒くさいからとりあえず入る」が増えてぼったくり商品が増えるでしょう。
しかし、一方でP2P型の保険など、保険会社が介在しなくても済むような保険がブロックチェーンなどのIT技術の進歩で開発されています。恐らく一方的にぼったくり保険が増えるのではなく、二極化するのではないでしょうか。
そんな時、いい保険に入れるようにやはり金融リテラシーは必要ということですが、現在はとりあえず掛け捨ての生命保険と自動車保険以外は不要ということで十分だと思います。