保険会社はなぜ利益を出せるのか――保険料の仕組みと、契約前に比べること

2019年、保険について話していて、保障の必要性と「払ったお金が戻るか」という話がかみ合わないと感じたことがありました。若い社員が「2人に1人ががんになる」という説明を聞いて保険を検討していたことも、統計の受け止め方を考えるきっかけでした。

保険会社に利益があることと、契約者にとって保障が不要であることは別です。この記事では生命保険の基本的な仕組みを整理し、不安の強さだけで契約を決めないための比較項目を示します。特定企業の収益を分析した記事ではありません。

保険料は、将来の見込みを使って決める

生命保険文化センターは、保険料の計算に予定死亡率・予定利率・予定事業費率という三つの予定率を用いると説明しています。将来の支払い、資産運用、事業を続ける費用を見込んでいるのであって、保険料の全額が会社の利益になるわけではありません。

予定率大まかに何を見込むか混同しないこと
予定死亡率保険金の支払いを計算するための死亡の見込み自分個人の将来が確定した数字ではない
予定利率保険料計算に織り込む運用収益の見込み支払った保険料全体の預金金利ではない
予定事業費率契約の維持などに必要な事業費の見込みすべてがそのまま純利益になるわけではない

参考:生命保険文化センター「保険料の仕組み」。商品の種類や契約時期により条件は異なります。

予定と実際の差が、剰余や損失につながる

実際の死亡者数、運用成果、事業費が予定どおりになるとは限りません。その差などから剰余が生まれ、有配当の契約では条件に応じて契約者へ配当される仕組みがあります。無配当の保険もあり、有配当でも配当額は保証されません。

したがって、会社が大きな資産を持つ、広告を多く出す、配当がなかった、といった一つの事実だけで、利益率や商品の良し悪しは決まりません。会社の業績を調べる場合は決算資料、契約を比べる場合は約款や契約概要というように、見る資料を分ける必要があります。

参考:同センター「配当金の仕組み」、「配当金は出ない場合があるの?」。

「給付がなかった」と「何も買っていない」は違う

掛け捨てでは、お金が戻らないことを損だと感じるかもしれません。しかし、契約期間中に対象の事態が起きたときの保障を受けていた点も、支出の対価です。反対に、戻るお金がある商品でも、必要な保障や保険料負担が家計に合っているとは限りません。

不安をあおる説明が気になった、という2019年の私の感想は残っています。ただし、その経験から業界全体を不当な商売だと断定することはできません。統計を見る際も、生涯の確率なのか、ある年齢の人の一年間の確率なのかを確かめることが先です。

契約前の比較メモ

質問書き出す内容
何に備えたいか死亡・療養・収入減など、困る事態を具体化する
既に何があるか公的制度、勤務先の制度、貯蓄、既存契約
いつ給付されるか支払条件、免責、対象外、保障期間
続けられるか現在と更新後の保険料、支払期間
やめるとどうなるか返戻金、保障の消滅、新規加入の条件

公的保障の内容は加入する制度によって違います。まず自分の保険者や勤務先の案内を確かめ、不明点は資料のどこに書かれているかも含めて確認すると、説明を比較しやすくなります。

まとめ

保険会社の利益の仕組みを知る目的は、すべて加入する、すべて解約するという結論を先に決めることではありません。何に備えるために、どの条件で、いくら払うのかを分けることです。本記事は一般的な仕組みの解説と過去の感想であり、個別商品の加入・解約を勧めるものではありません。

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