山口周著『武器になる哲学』について、2019年当時に書いた読書感想です。哲学思想の網羅的な解説ではなく、私がこの本の読み方に感じた長所をまとめています。
答えより、考える過程を知る本として
他の哲学関係の解説書と違うのは、単純に時系列的に並べたり、淡々と解説していったりするものではなく、どの部分が現代にどう役に立つのかをかなり絞り込んで解説していることだと思います。
かといって単純に哲学者の答えだけを持ってきてこういうものだとか、有名どころを解説するようなものではなく、思考のプロセスを解説することで、どう考えればよいのかを教えてくれる、本当の意味で”役に立つ”哲学書であり、ビジネス書になっています。所謂、魚を与えるのではなく、魚の取り方を教えてくれる本ですね。
仕事と社会を切り離さない視点
それに、この本の優れているところは、単純にビジネスや、自分が生きる上でこう考えれば役に立つというビジネス書というだけにとどまらず、きちんと現代社会に対する批評にもなっているという点です。つまり、自分の生き方や考え方が、日々の業務だけでなく、仕事や組織、社会の在り方が、ミクロやマクロの視点ですべてつながっているという本になっています。
哲学というと実生活とかけ離れた話をするか、もしくは短期的にすぐに役に立つ話に落とし込んで終わらせようという本はありますが、ここまで広い深い領域をカバーできるものかと思い驚きました。
なので、多岐にわたる思想の説明にもかかわらず、内容は一貫しているように思いました。
自分の考え方を振り返るきっかけ
そして、自分の思考のバックグラウンドにやはり哲学的知識が関係しているというのを知りました。自分の中にもすっと入ってきた。
この感想で「役に立つ」と書いたのは、思想家の言葉をそのまま正解として持ち歩けるという意味ではありません。仕事の判断と社会の仕組みをつなげ、考える過程に目を向けられた、という当時の評価です。
読書の入口としては、時代順に哲学史を通して学びたいのか、自分の仕事に関わる問いから入りたいのかで選び方が変わります。この記事が扱うのは後者の読み心地です。個々の思想や心理学用語の定義を調べる際には、短い読書メモだけでなく、その分野の解説や原典に戻る必要があります。
まとめ
私が特に評価したのは、日々の仕事の工夫だけに閉じず、組織や社会への批評までつながることでした。多くのテーマを扱いながら一貫していると感じた点と、自分の思考の背景にも哲学が関わっていると気づいた点が、2019年の読書メモに残っています。
