2019年当時の読書感想です。生き物の命を扱うことへの私の疑問は残し、外来種の定義や増減に関する一般化を訂正しました。
以前から私が疑問に思っていた外来種の駆除に対して深掘りされている本です。
外来種の駆除は確かに必要かもしれません。ヒアリなどの日本にいなかった種が突現日本に現れ何らかの被害にあう。ましてや被害者が子供ならおちおち外で遊ばせられないし、パニックになるのは当然でしょう。
しかし、私が依然見たTVの中でニホンザルと外来種の猿の交配が問題になっていました。交配してしまったらその子供はニホンザルとの区別がつきにくく、純粋なニホンザルを守るために外来種のサルやその子供は駆除してしまおうという話でした。
その時に非常に違和感を覚えたのです。まず、外来種であろうが何であろうが、生き物の命を奪うのにはそれなりの「言い訳」がいります。食べなければ死ぬとか、家畜を害するからなど仕方なく生き物の命を奪うのであって、誰だって犬や猫を悪戯半分で殺していたら違和感を持つでしょう。
はたして、外来種のサルの駆除が、人間の倫理観に照らして妥当といえるのでしょうか。ニホンザルからしたら、自分のパートナーや子供を殺されるわけですから「守ってくれてありがとう」ではないはずです。
「外来種」という生物の分布に関する概念と、外来生物法の対象は区別が必要です。環境省は、同法が海外由来の外来種に焦点を当て、明治時代以降に導入されたものを中心に対応すると説明しています。「明治以前なら外来種ではない」という定義ではありません。環境省:侵略的な外来種を参照してください。
他にも、人間の利益になる外来種もいます。ムール貝などは昭和初期に海外からくる船によって運ばれてきた外来種ですが、食用として利用されています。
そもそも、人間に害のある種は在来種であろうが変わりません。スズメバチは年間熊より人を殺していますが、絶滅させるべきでしょうか。
外来種の増減や影響は種や地域で異なり、増えた後に必ず無害な状態へ落ち着くとはいえません。私は駆除の目的や生態系全体への影響も考えるべきだと感じましたが、それを特定の防除が不要という判断に直接結びつけることはできません。
そもそもエコロジーに関しての議論はいつも「絶対的な自然」があるという前提ですが、現在人間のかかわっていない場所などありません。田んぼにカエルがいることには確かに風情を感じますが、田んぼは人間の作ったもので自然とは言えないでしょう。しかし、現在地球が温暖化しているならば、地球のどこにも手付かずの自然はないということになります。
偉大な自然や、美しい自然に思いをはせるのと、実際に人間ができる最低限のこととは区別すべきでしょう。
なので、この本の結論としても最低限の害獣、害虫駆除はするべきだが、あまり極端なことは無理だというものになっています。
やはり、極端なことあまりよくありませんね。
